今村昌平 Shohei Imamura

復讐するは我にあり Vengeance Is Mine

九州、浜松、東京で五人を殺し、詐欺と女性関係を繰り返した主人公の生いたちから死刑執行までを辿る。
昭和五十年下期の直木賞を受賞した佐木隆三の同名の原作の映画化で、脚本は「ギャンブル一家 チト度が過ぎる」の馬場当、監督は「にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活」の今村昌平、撮影は「野性の証明」の姫田真佐久がそれぞれ担当。

楢山節考・ならやまぶしこう The Ballad of Narayama

信州の山深い寒村を舞台に、死を目前にした人間の生き方を描く。
深沢七郎の同名小説と「東北の神武たち」の映画化で、脚本・監督は「ええじゃないか」の今村昌平、撮影は栃沢正夫がそれぞれ担当。

赤い殺意 Unholy Desire

強盗が押し入った夜、夫の吏一は出張中であった。
恐怖におののく貞子を、殴打しスタンドのコードで縛りあげて、獣のようにせまって来る男に、貞子は半ば気を失って呻いた。
明け方強盗は再び貞子を犯して去った。
“死なねばならない”貞子は、土堤下を通る鉄路にふらふらと出てみたが子供勝への愛情はたち難かった。

にっぽん昆虫記 The Insect Woman

「白い牙」の長谷部慶次と「競輪上人行状記」の今村昌平が共同でオリジナル・シナリオを執筆、「豚と軍艦」の今村昌平が監督した社会ドラマ。
撮影は、「現代っ子」の姫田真佐久。
今村 昌平は東北土着の「基層心理」をベースにした作風(本人の言葉で言えば重喜劇)をこのとき確立させた。
のちに今村はこの基層心理を推し進めてドキュメントタッチの作風に変化して行ったが、主人公は常に庶民であり、有名人の故事来歴的作品は一切取り上げなかった。
東北の農村に生まれ、家族から地主に足入れ婚を強要され、やがては働きに出た東京で売春宿の女中からコールガール組織のマダムとなる一人の女性と、その母と娘、三代にわたる女たちのセックスをとおして、昆虫のようなその生命力に満ちた半生記をエネルギッシュに描いた今村監督の代表作。