オリヴィエ・アサイヤス Olivier Assayas

イルマ・ヴェップ Irma Vep (1996年)

パリ。「吸血ギャング」のリメイクの撮影直前で大騒ぎの、ある映画製作会社のオフィス。
そこへ本作の主演をオファーされ、単身パリへやって来た香港スター女優マギー(が来訪。が、忙しすぎるスタッフは誰もまともに応対できない。
製作主任の紹介で、彼女はやっと自分を抜擢した監督のルネ・ヴィダルと会う。
ルネはかつてマラケシュの映画館でみたマギーが主演した映画(『ワンダー・ガールズ/東方三侠』)を憶えていて、マギーを今作のヒロイン、イルマ・ヴェップに選んだのだという。

Clouds of Sils Maria (2014年)

マリア・エンダーズは女優としての仕事に成功し、忠実なアシスタントのヴァレンティーヌを手に入れたが、ある若手女優が新作映画の中でエンダーズが有名になるきっかけとなった役柄を全く違った演出で表現して以来、彼女の世界は崩れ始めていく。
過去の人生に憑りつかれた彼女はアシスタントと共にシルス・マリアというスイスの小さな町に撤退する。

5月の後 Après mai (2012年)

学生運動がフランス全土で社会現象へと発展したのが68年の5月革命である。
本作は、5月革命に間に合わなかった、70年代前半に政治活動に傾倒した世代の物語であり、それはすなわちアサイヤス監督の世代である。
かねてより70年代を背景とした『冷たい水』(94)の延長線上にある作品の構想を抱いていたアサイヤスは、『カルロス』(10)で時代の再現に手応えを感じ、本作を製作するに至る。
自伝的作品ではあるが、アサイヤスの記憶や体験は様々なキャラクターに託されている(本作の主役は『冷たい水』と同じ、ジルとクリスティーヌという役名を与えられている)。
政治の季節の記憶であるとともに、普遍的な青春映画であり、映画への愛に富み、極上の音楽と撮影を備えたアサイヤス芸術の最高峰である。

カルロス Carlos (2010年)

ベネズエラ出身の過激派イリッチ・ラミレス・サンチェスは、1970年にパレスチナ解放人民戦線(PFLP)に合流し、資本主義国を標的にした数々のテロに加担する。
やがてカルロスというコードネームで呼ばれるようになった彼は、ハーグ事件、OPEC本部襲撃事件、フランスのTGVでのテロなどの悪名高いテロ活動に関わり、世界を恐怖に陥れていくが……。
1970年代から1994年に逮捕されるまで世界中を震撼させた国際テロリスト、イリッチ・ラミレス・サンチェス(通称カルロス)の半生を描いた社会派サスペンス。
革命を夢見た男の栄光と挫折の物語を、日本赤軍によるハーグのフランス大使館占拠事件やウィーンのOPEC本部襲撃事件など実際のニュース映像を交えながら、3部にわけて再現する。

感傷的な運命 Les Destinées Sentimentales

DemonLover デーモンラヴァー

フランスの世界的な大企業「ヴォルフ・グループ」(以下「V.G.」)は、3Dポルノグラフィックの革命と呼ばれる日本企業“東京アニメ社”の、買収計画を進めていた。
「V.G.」では、リーダーのカレン、サブリーダーのディアーヌ、補佐のエルヴァ、エリースの4人が買収の担当をしている。
日本で“東京アニメ社”との交渉後、フランスへ戻る無機質な機内。

クリーン Clean

ロックスターとして名を馳せてきたリーと、その妻で歌手として成功することを夢見るエミリー(マギー・チャン)の間にはジェイ(ジェームズ・デニス)という幼い息子がいるが、今はバンクーバーに住むリーの両親に育てられていた。
所属するレコード会社の件で激しい口論をしてしまったある日、エミリーはドラッグの過剰摂取によりモーテルで死んでいるリーを発見する。

レディ アサシン Boarding Gate

元娼婦のサンドラは、自分の夢をかなえるための資金稼ぎとして、彼氏に言われるがままに殺しの依頼を引き受ける。
その標的は、自分がかつて愛した相手だった。
これが終われば幸せになれると信じる彼女だったが…。

夏時間の庭 L’HEURE D’ETE

パリ郊外の小さな町ヴァルモンドワ。
美しい庭園が広がる一軒の邸宅。
そこは名のある画家だった大叔父が生前使っていたアトリエ。
いまは母エレーヌが一人で住み、家と大叔父の膨大な美術コレクションを守っていた。
そんなエレーヌの75歳の誕生日、3人の子どもたちが久々に顔を揃える。
それぞれに独立し、忙しい日々を送る兄妹に負担にならないようにと、死後の準備を進めていたエレーヌ。

カルロス CARLOS 戦慄のテロリスト

1970年代からおよそ20年にわたって14件のテロに関与したと言われる暗号名カルロスことイリッチ・ラミレス・サンチェス。
1973年、彼はパレスチナ解放人民戦線(PFLP)のリーダー、ワディ・ハダドに面会し、自分を売り込む。
やがてハダドに認められ、PFLPに加わったカルロスは、日本赤軍のフランス大使館襲撃やオルリー空港でのイスラエル機砲撃などのテロに関与し頭角を現わしていく。
そして1975年、ウィーンのOPEC本部を襲撃し、世界にその名を知らしめるカルロスだったが…。