黒澤明 Akira Kurosawa

酔いどれ天使 DRUNKEN ANGEL 

乱 Ran 黒澤明 Akira Kurosawa

過酷な戦国時代を生き抜いてきた猛将一文字秀虎は七十歳を迎え、家督を三人の息子に譲る決心をした。
「一本の矢は折れるが、三本束ねると折れぬ」と秀虎は、長男太郎は家督と一の城を、次郎は二の城を、三郎は三の城をそれぞれ守り協力し合うように命じ、自分は三つの城の客人となって余生を過ごしたいと告げた。
隣国の領主藤巻と綾部もこれには驚いた。
しかし、末男三郎は三本の矢を自分の膝に当てて無理矢理へし折り、父秀虎の甘さをいさめた。
秀虎は激怒し、三郎と重臣の平山丹後の二人を追放した。
藤巻はその三郎の気性が気に入り、藤巻家の婿として迎え入れることにした。

羅生門 Rashomon 

平安時代のとある薮の中。盗賊、多襄丸が昼寝をしていると、侍夫婦が通りかかった。
妻に目を付けた多襄丸は、夫をだまして縛り上げ、夫の目の前で妻を強姦する。しばらく後、現場には夫の死体が残され、妻と盗賊の姿はなかった。
--物語は、この殺人事件をめぐり、目撃者の杣売(志村喬)と旅法師(千秋実)、捕らえられた盗賊(三船敏郎)と侍の妻(京マチ子)、それに巫女により呼び出された、死んだ侍の霊の証言により構成される。
ところが事件の顛末は、証言者によってくい違い、結局どれが真実なのかわからない。
盗賊によると、女がどちらか生き残った方に付いていくと言うので夫と対決し、彼を倒したが女は消えていたと言い、妻は妻で、盗賊に身を任せた自分に対する夫の蔑みの目に絶えられず、錯乱して自分を殺してくれと短刀を夫に差し出したが、気が付いたら短刀は夫の胸に突き刺さっていたと告白。

用心棒 yozinbo

馬目の宿は縄張りの跡目相続をめぐって一つの宿湯に二人の親分が対立、互いに用心棒、兇状特をかき集めてにらみ合っていた。
そこへ桑畑三十郎という得体の知れない浪人者がふらりとやって来た。
一方の親分馬目の清兵衛のところにやって来た三十郎は用心棒に俺を買わないかと持ちかけて、もう一方の親分丑寅の子分五、六人をあっという間に斬り捨ててしまった。
清兵衛は五十両で三十郎を傭った。
しかし女房のおりんは強つくばりで、半金だけ渡して後で三十郎を殺せと清兵衛をけしかけた。これを知った三十郎はあっさり清兵衛の用心棒を断わり、居酒屋の権爺の店に居据った。
両方から、高い値で傭いにくるのを待つつもりだ。
名主の多左衛門は清兵衛に肩入れ、造酒屋の徳右衛門は丑寅について次の名主を狙っていた。

野良犬 Stray Dog

射撃練習を終えた村上刑事はコルト式けん銃に弾を装てんして無雑作に私腹の上着のポケットにねぢこんだ。
彼は連日の活躍に大分疲労を感じながらバスに乗り帰途についたが、途中のバスの中で一大事が起った。
それは彼のピストルが盗まれたのである。
ポケットに手をやった時はすでに遅く、周囲の怪しい奴が降りたのですかさず後を追ったが残念ながら姿を見失ってしまった。
真夏の午下がりの出来事であった。
彼は早速警視庁捜査第一課の中島警部に事情を訴え出たが、そのピストルの中には七発の実弾が入っており、事の重大さに今更ながら若い村上刑事は当惑するのであった。