ジャン=リュック・ゴダール Jean-Luc Godard
女は女である une femme est une femme 1961
パリの下町の小さな本屋の店に働くエミール(ジャン・クロード・ブリアリ)はストリップ・ガールのアンジェラ(アンナ・カリーナ)と同棲している。
そのアンジェラが、どうしたはずみか急に赤ん坊が欲しいと言い出す。
そのことで、二人はどうも意見が合わず、喧嘩がたえない。
男のエミールにしてみれば、子供はいらないし、正式な結婚なんかしない方が都合がいいからだ。
どうしても子供を生むと意地になったアンジェラは他の男に頼んでつくってもらうと、おだやかならぬ宣告をする。
本当のところアンジェラを愛しているエミールはこの言葉に動揺するが、いまさらあとへは引けない。
女と男のいる舗道 Vivre sa vie. Film en douze tableaux 1962
パリのあるカフェ。
ナナ(アンナ・カリーナ)は別れた夫と疲れきった人生を語りあっている。
現在の報告をしあって別れる。
夢も希望もない。
ナナはそんなある日、舗道で男に誘われ、体を与えてその代償を得た。
そして彼女は古い女友達イヴェット(G・シュランベルゲル)に会う。
彼女は街の女達に客を紹介してはピンはねする商売の女だ。
ナナは完全な売春婦になった。
ラウール(サディ・ルボット)というヒモも出来た。
ナナは見知らぬ男と寝て、彼等から金をもらう。
無意識に、無感情に--その金はラウールの手に渡っていた。
ある居酒屋でダンスをしていたナナの眼に、玉突きをしている一人の青年の姿が映った。
彼女のもの憂げな眼がかすかに動いた。
ナナの心に、女の感情が小さく灯った。
ナナは青年を愛し始める。
ラウールとは別れよう……だが、彼はナナの心の動きをみるや、彼女を他の売春業者へ売りとばしてしまった。
軽蔑 le mépris 1963
女優カミーユ(ブリジット・バルドー)とその夫、シナリオライターのポール(ミシェル・ピッコリ)は寝室で無意味な会話をする。
充実した満足感がなせるものだ。
翌朝、ポールはアメリカのプロデューサー、プロコシュ(ジャック・パランス)と会った。
撮影中の映画のシナリオを改定してくれというのだ。
昼、カミーユが来た。
プロコシュは二人を自邸に誘った。
プロコシュはカミーユに親切だ。
静かな嫉妬心を持ちながら、ポールはプロコシュに遠慮している。
プロコシュはカプリ島のロケにカミーユを誘った。
「夫が決めますから」カミーユは素気なく答える。
アパートに帰ってからカミーユはひどく不愛想だった。
その夜、二人は寝室を別にした。
ブロコシュから誘いの電話があり、ポールはカミーユ次第だと返事した。
カミーユは再び激しく怒った。「軽蔑するわ」。
夫婦はプロコシュの誘いで映画館に行った。
夫婦はほとんど口をきかなかった。
カミーユはカプリ行きを承知した。
カプリ島の撮影現場。
プロコシュは監督のやり方が気に入らない。
彼は一足さきに別荘に帰ろう、とカミーユを誘った。
カミーユは夫の顔を見た。
気狂いピエロ Pierrot le fou 1965
フェルディナン(J・P・ベルモンド)は通称“気狂いピエロ”と呼ばれるカッコいい、愛すべき、反面また憂愁にみちた男である。彼は金持の妻に退屈し、無為な都会生活を逃げだしたい衝動にかられていた。
そんなある夜彼はパーティで昔馴染の女性マリアンヌ(A・カリーナ)に出会い、一夜をともにした。
翌朝、目覚めた彼は彼女の部屋に、首に鋏を突きたてられて死んでいる見知らぬ男の死体を見つけ驚いた。
だがマリアンヌは一向に気にする様子がなく、口笛を吹きながら朝食をつくるのだった。
面倒な事件であることは確かである。
「わけはあとで話すから」と、彼女に手をとられた時フェルディナンはごく自然に彼女と行動を共にし、パリを逃げ出す決心をした。
彼は昔よりも一層魅力的になったマリアンヌを愛しはじめていたし、愚劣な生活から抜け出せるチャンスと考えたのだ。
フェルディナンはマンガ“ピエ・ニクレ”を持ち、マリアンヌは銃を持ち、着のみ着のままに彼女の兄がいるという南仏へ向けて、出発した。