高橋盾 Jun Takahashi

アンダーカバーテサイナー/1969年生まれ。
90年にフランドをスタート。
ファッションの粋を超えた革命カルチャーを牽引する存在として、海外からも評価が高い。
2010年にはヴァレンティノとのコラボを発表し、現在のコラボブームの火付け役に。
常に時代の先を見据えたクリエイションを発表し続けている。
スローダウンをするためでなく、人生の多くを占めてきた愛着ある仕事の、さらなる飛躍を目指すため。
アンダーカバープロダクションのメンバーが手に入れた新たなスタジオには、自然が生み出すゆったりとした時間とともに、彼らの創造への情熱が漂っていた。
「ここから歩いて15分の海岸を早朝に走って、軽く食事したあと仕事して。また海に行ってボーッとして、山を眺めながらまた仕事する。
こんな環境で働くことに罪悪感を覚えるほど」と話す高橋盾。
2018年に写真家の水谷太郎守本勝英、アートディレクターの永戸鉄也とともに4で立ち上げたクリエイティブチーム「アンダーカバープロダクション(以下UCP)」として、東京とは異なるスタジオを葉山近郊で始動させたのが今年の3月。
東京のカルチャーを最前線で牽引してきたクリエイティブ集団が新たにつくった根城は、自然の開放感とエッジ感を併せ持った鮮やかな独自空間。
この場からはじまる新たなスタイルについて、水谷、守本も交えて話を聞いた。

高橋盾 Jun Takahashiアンダーカバー 

東京にも繋がる次のフェイズをつくること。それが僕たちがここに来た理由。

厳しい時期を新たな時代に切り替えるための場。
ます、東京のほかに2拠点目の仕事場をUCPの4人で持とうとしたきっかけを数えてください。

高橋盾 (以下高橋)これまでアンダーカバーを経営する立場として毎日会社に定時に行き、スケジュールに沿って仕事していたのが、50歳を過ぎて少しベースを落としたくなって。
そんな時期にコロナを含め仕事のあり方に大きな変化が記きた。
このタイミングでゆったりした環境でいい仕事をしたいという気持ちにどんどん向かって。
で、宇本の家に4人で集まって「コロナで家でも仕事できることが確認できたし、この機会に皆でどこか信りようか」という話になったんだよね。
守本勝英(以下,守本) 前から皆で話していたことだったけれどコロナが引き全にはなりましたね。
それも東京のどこかじゃなくて。
水谷太郎 (以下水谷) 僕はもともとこの近くに住んでいて、仕事の打ち合わせのためだけに東京に行っていたことも全てZoomになった。
じゃあ、東京に通う意味って何? とも思いはじめた。
高橋 そこから物件を探しだしたのが去年の5月。
皆で家を買う話も出たけれど、4人で土地を買うのも難しくて、ある日、賃貸物件をネットで延々していたら最後の最後にこの家が出てきた。
「何だ? ここは1」 と、 画像をすぐ太郎に送ったら、偶然にも自分たちの知り合いの持ち物だったんですよ。
友達伝えに連絡してもらって内見に行ったら、 部屋、テラスと、この空間にビックリした。
当時住んでいたこ夫婦が、「来年 2月の契約が終わるあとならいいですよ」と言ってくれて決まったのが去年の8月、業京から1時間程で使利だし、もうこんな物件はないと思いました。
パンデミックでの社会的状況の影響もあったのでしょうか?
高橋コロナ自体は大変ですしこのタイミングでこの新たな場をつくることになった一因にはなっています。
でも、やはり「自分たちの心の変化」というところが大きい。
若いころは大変なときもバワーで乗り切れるけれど、僕を筆第にほかの3人も40代以上。
歳を重ねたら、もっと知恵を使って問題と対応しながら乗り切らないと厳しい時期だけど、逆に次のステップに進むチャンスで、切り替えのポイントだと思いますね。
水谷 当たり前じゃなかったことが当たり前になって、でも、「その当たりッて何だろう?」と、新たなスタンダードも自ら考えることで、新しいものが生まれると思う。
そこは4人とも営業抜きに皮膚感覚でシンクロしたよね。

高橋盾 Jun Takahashiアンダーカバー 

僕らの場合、モノを創る場でもあるから、尖った要素が必要なんです。

高橋 UCPは尊敬し合ってるチームだから、意見も感覚も皆、近い。
次の時代に向けてどう新しく画白いことができるか。
それを考える場所にしたいし、そのきっかけを生むために、この場がスタートした。
そこは大きいですね。
スローライフとは違う自然との新たなスタイル。

健かに、この空間は肌で感じられる刺激があります。
リラックスしているけれど、緊張感でピンと言るセンスもあるというか。

高橋 そのポイントが多分、こういう場でありながらスローライフやロハス的発想じゃないんですよね。
僕たちがここに来た理由はただフリーなこととは違って、山が迫るこの場所、環境でアートやファッションを創造して、東京にも緊がるような次のフェイズをつくること。
自然に囲まれた場での新しいスタイルだと思う。
ーインテリアの隅々にもそれが感じられます。

高橋 インテリアは皆と話しながら、自分の趣味を過した部分もあるけれど、エッジが立っているものと和のアイテムをこの山の中に持って来て科学反応が起きるようにセレクトしています。
それを踏まえて、ここは4人のギャラリー的な意味も大きいので、各々の作品も何がこの空間に合うか選んで配置している。
だから家具もなるべくほかにないものにして、かつ、ちゃんとリラックスもできる。
といって、皆が北欧の家具を揃えてナチュラルでゆったり、というのとはちょっと違う。
自分たちの空間ならひねくれていたい、という気持ちがあるから(笑)。
守本 落ち着くけど、どこか違和感があるんですよね。
違和感という意味のノイズ。
僕らもモノを創る上でこの場の持つその効果はとても重要なんですよ。
何かいびつさのあるトーン。
高橋 UCPの4人は世の中からすればいびつだから (笑)。
本来、セカンドハウスはリラックスする場なのが当たり前。
でも僕らの場合、モノを創る場でもあるから尖るた要素が必要なんです。
水谷 確かにここに来ることで、今持っている仕事も全部切り離して、自分の作品のことだけを考えていられる。
そこから新しいことができるという感触もある。
守本 だから、ある意味チャーチ(超)ですよねここは。
水谷 礼拝的な (笑)。
高橋 その感覚はあるね。
自然のエネルギーに囲まれて。
山、川、海が全部ある。
特に窓から見える山の姿が凄くて、めちゃくちゃパワーをもらってますよ。
少し前まで明はウグイスやホトトギスの鳴き声しかしなくて、夏の今は蝉。
近くの川に蛍も見える。
守本 隣のおばさまと子どもが「蛍、はじまったわよ」って教えに来てくれるんだよね (笑)。
高橋 そして、 皆で飲んだり食事しながら下らない話をし、そこから次のプロジェクトが生まれて。
水谷 僕たちはいつもそういう惑じですよね。
一つ表題が置かれたら、そこに対するアイデアが4人からガンガン出て活性化する。
そういう意味で一番実験できたのが「空間をつくる」というこの場所。
高橋 まず、ここが一つの作品。
それも、この家の器がいいから。
水谷 自分たちで手を加えたのは壁を白く塗ったぐらい。
高橋 もともと日本家屋だったんだよね、多分。
だから和のものも絶妙に合う。
ここのインテリアを考えることで、さらに深く日本のものに興味を持つようになったし。
逆に、この場ができて興味がなくなったものはありますか?
高橋 なくなったというより、この場所のおかげで引き出しが多くなって、それが空いているか閉まっているかという状態。
閉まっているのが興味なくなったというのともちょっと違うかな。
水谷  モダンで現代的なカルチャーも、ここで発見する自然も全部一つのテーブルに並べられているような感覚。
山を散策して落ちている木のデザインも、めちゃくちやオルタナっぱく見えるヤツをってきて飾ったり。
高橋 そう。 で山に入って 「うわー、 あの根っこヤバいね」って(笑)。
それも「この空間にこれを持っていったらすごく面白くない?」という目線で見てる。
ただ海に行って流木を拾うんじゃなくて、自分たちの今まで蓄積したセンスで自然のなかから選ぶ。
守本 自分たちの感覚で見立てているような、ちょっとインナーっぽいニュアンスもある。
高橋 新しく興味を持ったものが重なってレイヤーになっていって、そこに無駄なものは一切ない。
例えば今まで遊びなら夜にクラブに行っていたのが、今はこの自然のなかにいる。
でも、僕の惑覚は両方一緒で何ら変わりはない。
じゃあ、これから60歳ぐらいになったとき何をやりたいのか、服以外のものをクリエイションするかもしれないし、そんなことを考える場所としても最高の環境。
今はまだ、クラブや音楽といったカルチャーで自分たちが培ったものを反映させていける中間のところにいて、これからどんな方向にも行けるのが本当に面白い。
そう感じるのもこの場を手に人れたからこそ。
ここに来る度、「本当に最高だな」といつも思っていますよ。