ブルース Blues

ロバート・ナイトホーク Robert Nighthawk

本名をロバート・マッカラム( Robert McCollum )といい、1909年にアーカンソー州ヘレナで生まれました。
戦前はロバート・リー・マッコイ、ランブリング・ボブ、ピーティーズ・ボーイの名でブルーバードやデッカに20数曲程度を吹き込んでいます。
1920年代中期にはウィル・シェイドのメンフィス・ジャグ・バンドに加わり活動しました。
1931年はジャクスンでジミー・リードと活動し、この頃、ヒューストン・スタックハウスにハープとギターの手ほどきを受け、トミー・ジョンスンらの南部から流れ下るブルース・フィーリングを身に付けています。
1950年から1960年代にはシカゴのマクスウェル通りで路上演奏をして過ごしました。
1937年にはブルーバードに「タフ・ラック」などを初レコーディングしています。

ライトニン・ホプキンス Lightnin’ Hopkins

ブルース史上最も多作なレコーディング・アーティストの一人だったライトニン・ホプキンス。
1946年から1981年にかけて残した膨大な録音は、弾き語りのカントリー・ブルースからバンド付きのロックンロール的なものまでを含み、彼の芸の広さを示します。
テキサス・ブルースの伝統を受け継ぎながらも、独特の技法を磨き、戦後のブルースやロックに多大な影響を与えます。
彼のヴォーカルはときには切実感を漂わせ、ときに陽気。
エレキ・ギター、アコースティック・ギター、両方を弾き、同時代の音楽にも器用にアダプト。

ハウンド・ドッグ・テイラー  Hound Dog Taylor

ダーティなスライド・プレイ、下卑たヴォーカル、チューニングの狂いなど関係なく突っ走る演奏–ここにブルースの全てがあるといっても過言ではない。
6本指で有名なシンガー/ギタリスト、ハウンド・ドッグ・テイラー。
そのプレイに衝撃を受けたブルース・イグロアが、彼のレコードを出したいがために<アリゲーター>レーベルを興したというエピソードも有名だ。

ジュニア・キンブロウJunior Kimbrough

ギターとドラムのみ、という斬新なバンド編成で、フレッド・マクダウェル直系のスライド・ギターを聴かせるブルースマン。
1930年7月28日にミシシッピー州ハドスンヴィルで生まれ、1998年1月17日にホリー・スプリングで心臓発作のため死去しました。
91年に映画『Deep Blues』に出演して脚光を浴びました。

R.L.バーンサイド R L Burnside

ジョン・スペンサーとの共演により若い世代からも支持を得ているブルース・マン。
R.L.バーンサイド。
ブルース発祥の地ミシシッピー出身のバーンサイドは、デルタ・ブルースを電化したジョン・リー・フッカーの系譜を継ぐミュージシャンです。
映画『ディープ・ブルース』でみせた余りに異様な音質のギター・プレイに、ローファイと同じ匂いを嗅ぎ取った若いミュージシャンたちは熱いラヴ・コールを送ります。
ドロドロと引きずるようなルーズなノリ、ウラとオモテのリズムがひっくり返っても構わず突き進む強引さ、ドス黒い光沢を放つグルーヴ感。

T-モデルフォード T-Model Ford

R.L. BURNSIDE等と共に、ミシシッピ・ブルースの原初的エネルギーを、パンク~ガレージ・ロック以降の表現衝動とラウドな音響で90年代以降のブルースに新たな可能性を開きます。
所謂”肝ブルース”の担い手として独自の活動を展開するT-MODEL FORD。

セデル・デイヴィス CEDELL DAVIS

レフト・ハンドの素晴らしきブルーズ・マン。
元々右利きだが、小児麻痺により左で弾くようになります。
彼、独自のなメロディー、独自のチューニング、苦労の中から生まれたユニークなギタースタイル。

ファット・ポッサム Fat Possum Records

ファット・ポッサムはミシシッピ州オックスフォードを拠点とするレーベルです。
R.L.バーンサイド、ジュニア・キンブロウ、セデル・デイヴィスら、地元のジューク・ジョイントの、生々しく、荒っぽい、イカれたブルースを提供し続けました。
ブルースはアフリカ音楽を起源とする。
ブルースは、アメリカ南部の黒人たちのつらい経験や境遇を背景に生まれたもの。
ブルースの原材料のいくつかがアフリカ起源であることは間違いないこと。
アメリカへ連行された奴隷のほとんどがガンビア、セネガル、ナイジェリア、ガーナなど、西アフリカの海岸地域の出身です。
グリオと呼ばれる西アフリカの口承楽人は、ブルース歌手を彷彿させるし、ブルース歌手の苦しくうめくような、しゃがれた発声やファルセットは、アフリカの宗教儀式の名残。
アフリカでは、音楽と言語が密接に結びついて、かつてはドラムをコミュニケーションの手段として使いますが、その姿勢が、音調や音色を表現上の効果として使うブルースの演奏技巧に受け継がれています。
農作業の際に歌われた「ワーク・ソング」や「フィールド・ハラー」は過酷な労働をほんの少し我慢しやすくしてくれただけですが、これらの歌のコール&レスポンス(呼びかけ応答)と呼ばれる、歌詞を繰り返す手法は、やがてブルースに受け継がれます。
農園の監督官に面と向かって話せない事柄を表すために、時に暗号のような表現もあります。
ブルースは憂鬱と簡単に混同されますが、必ずしも悲しい音楽ではありません。
陽気で愉快な様式もあり、ブルースは個人的でもあれば伝統的でもあり、ダンスするため、酒を飲んだりするための音楽ともなります。