フョードル・ドストエフスキー Fyodor Dostoevskii

カラマーゾフの兄弟 イワン・ブィリエフ

五十を過ぎてもなお、肉欲にとりつかれているフョードル・カラマーゾフ。
親譲りの性格により、予備大尉の身を放縦な毎日に埋没させている、長男ドミトリー、神を否定する大学出の秀才の次男イワン、清純な魂と深い信仰を持つ三男アリョーシャ。
カラマーゾフ家には、激しい葛藤があった。
特に、ドミトリーが婚約者カテリーナがありながら、ある老商人の世話になっているグルーシェンカに惹かれ、そのグルーシェンカが借金に苦しんでいるのを幸いに、父フョードルが自分のものにしようとしているので、二人の対立は大変だった。

悪霊 アンジェイ・ワイダ Biesy Andrzej Wajda

時は一八七〇年頃、社会の変革を夢み、至るところで古い骨組みが揺らぎつつあるロシアのある地方の町。
この町のスチェパン教授の教えをうける若き過激派たちは、町の裕福な陸軍中将夫の一人息子スタヴローギンを救世主とする教授の息子ピョートルを中心に政治結社を組織するが、その中の一人シャートフは組織から離れる決心をしていた。
不穏な空気の中、組織の若者たちは公然と町の有力者に近づき懐柔を画策し始め、そして集会を組織し労働者を煽動した。
しかし長い間服従に慣らされていた彼らは、一喝する知事の一言にうなだれむち打ちの刑に処されるが、すでに知事夫人の懐柔に成功していたピョートルは、その中に加わっていたシャートフの釈放を要請する。

罪と罰 レフ・クリジャーノフ

〈さまよえる青春〉ラスコーリニコフは恐ろしい悪夢にうなされていた。
人気のない通りを警官に追われ、必死に逃げようとするのだが足が鉛のように重い……逃げ場を失ってやむなく橋の上から河に飛び込んだ……目が覚めると汗びっしょりで頭痛がした。(一体どうしたんだ。
こんなザマでは何も出来ないぞ!!)彼は自分の臆病さをいましめた。
一ヵ月前だったろうか彼が初めて質屋に足を運んだ時から、その因業婆ぁの殺害を目論んでいたのだ。
あんな老婆の命など虫けら同然ではないか。
むしろ殺した方が皆んなのためだろう--彼がこう判断したのにはわけがあった。
以前、彼は「犯罪論」と題する論文を書き、犯罪者の心理分析をしたのだが、それを通じ、人間は全て凡人と非凡人の二つの範疇に分たれ、前者は世間普通の道徳法律に服従する義務を有し、後者は既成道徳を踏み越えて新しい法律を創造する力を与えられていて、その行動によって歴史に新紀元を画し、人類に無限の貢献をなすものだから凡人に禁じられている行為をも敢行する権利を持っているとの確信に至ったからだ。

白夜 Quatre nuits d’un rêveur ロベール・ブレッソン Robert Bresson

画家の卵であるジャックはある夜、セーヌに身投げしようとする少女マルトを助ける。
彼女には一年前アメリカ留学に発った恋人がおり、二人が再会を約束したのがその晩だったのだ。
青年は苦悶に沈む彼女を美しいと思った。
そして、激しい愛の衝動につき動かされながら、努めて平静を装い、彼女の心が恋人から離れるのを望み、そこに罪悪感を覚える。

フョードル・ドストエフスキー Fyodor Dostoevskii

ロシアの小説家・思想家である。代表作は『罪と罰』、『白痴』、『悪霊』、『カラマーゾフの兄弟』など。
レフ・トルストイ、イワン・ツルゲーネフと並び、19世紀後半のロシア小説を代表する文豪である。
その著作は、当時広まっていた理性万能主義(社会主義)思想に影響を受けた知識階級(インテリ)の暴力的な革命を否定し、キリスト教、ことに正教に基づく魂の救済を訴えているとされる。