ジャン=リュック・ゴダール Jean-Luc Godard

カラビニエ les carabiniers 1963

野原の一軒家に母のクレオパトル(C・リベイロ)、娘のベニュス(G・ガレア)、二人の息子ユリッス(M・マーゼ)、ミケランジュ(A・ジュロス)が住んでいた。
或る日、二人のカービン銃兵1(G・ポワロ)、2(J・ブラッサ)がやって来て、王様の召集令状を出す。
非識字者で、王様からのたっての願いという言葉をなかなか信じない兄弟だが、戦争で何をしてもよい、世界中の富が手に入ると聞かされたため勇躍参加することにして、出発し、その経過を絵葉書で母と妹に報告する。
曰く、いくさが始まるまえ、兵隊は皆こわがること……。
イタリアに上陸して死骸の山を築いたこと。
ヒラの兵隊と大将さんもイイ男だろうが運命は同じさ! 

ウラジミールとローザ Vladimir et Rosa 1971

マルクス主義における代補と本源を巡るシーソゲーム。
ウラジミールは「本源」、ローザはただの「代補」?それとも本当は、前者は「代補」、後者こそ「本源」なのか?

うまくいってる? Comment ça va? 1975

ゴダールがアンヌ=マリー・ミエヴィルと監督・脚本を手がけた1976年製作の実験映画。
共産党の反動性について問題提起を目指した作品で、画面外の音声と映像の意味を「眼と耳を使って分析すること」を、観る者に要求する。
ヒッピー風の青年が、新しい恋人を車に乗せてフランスの地方都市の街を走る。印刷工場で働く彼は、二日前、パリに住む父親から手紙を受け取った。
そこには父と女性の対話が記されていた。
映画を通じて、青年と恋人がデートを重ね、やがて同棲する様子の映像と、画面外で手紙を読む父の声が何度も挿入される。

イタリアにおける闘争 Lotte in Italia 1970

造反運動で闘ってきた女子大生が、自分が依然としてブルジョワ構造に組みこまれていることを理解し、矛盾を解決する方法を探し求める(ゴダールのメモより)。
第一部 誰だ? 何が起っているのだ? 私はマルクス主義者で革命運動に参加している女子大生です。
[闘争主義〕共産党がレーニンをテーマにして集会を開いたのがこれが初めてでないことは知ってるわ。
でも時たま思いだしたみたいにやるだけじやないの(パオラ)。
〔大学〕〔科学〕〔社会〕〔家庭〕革命を待ちながらお前は私と母さんを食いものにしている(パオラの父)。
〔住居問題〕〔セックス〕〔身分証明書〕君がパオラ・タヴィアーニかね? M72464です。

アワーミュージック Notre musique 2004

〈第一部・地獄編〉夥しい戦争映像のモンタージュが展開される。
〈第二部・煉獄(浄罪界)編〉サラエヴォ。”本の出会い“というイベントに招かれた映画監督ゴダール(ジャン=リュック・ゴダール)は、講義の中で、イスラエルとパレスチナ、ユダヤとイスラムの非対称性を例に取り、世界を支配する対立構造を捉え直す試みについて言及する。
退屈しはじめた学生たちの中で、女子学生オルガ(ナード・デュー)はひとつの決心をする。
彼女は空港で、自ら編集した映像の収まったDVDをゴダールに手渡そうとする。
自宅に帰って庭いじりをしているゴダールの元に、オルガの叔父である通訳のラモス(ロニー・クラメール)から、オルガがイスラエルで自爆テロリストに間違えられて射殺されたという知らせが届いた。