1984年 anan 男顔になりたい。

男顔・女顔の研究

石原真理子のゲジゲジ眉って素敵!池上季実子の勝気そうな唇も、凛々しくて大好き!ナスターシャ・キンスキーの大きすぎる口だってチャーミングでセクシーだと思うし、マーゴ・ヘミングウェイのエラなんか、いかにも知的で意志の強そうな彼女にぴったりだ。こうやって、いま人気の人の顔を考えてみると、どっか共通点がある気がする。そう、みんな揃って「男顔」。顔に流行りがあるならば、今はまさに「男顔」の時代と言えそうだ。それならちょっと、研究してみましょうか。

昔々、グレタ・ガルボやデボラ・カーが大スターだった頃は、「美人の定義」っていうのがカッキリあった。細くて流線型の眉、クリンとカールした長いまつ毛、鼻筋の通った細い鼻、ベルベットのようになめらかな白い肌。みんな、少しでもその「美人顔」に近づこうとして必死にメイクしてた。

まあ、今でもそういう顔をしてる人っていうのは美人には違いないんだけど、でも、私たちが今憧れる顔、という意味では、ちょっと違う感じがする。
太くてキリっとした眉を、わざわざ抜くことはないんじゃない?そばかすを隠すために、ファンデーションを厚塗りする必要もないんじゃない?口紅を塗るとき、わざと小さめに描くことだってないんじゃない?
みんな、そう思い始めてるみたいだ。誰かが決めた「美人顔」に化けるより、自分の持ち味を生かした顔でいたい。お人形さんでいるよりも、意思をもって呼吸している生身の人間でいたいのよね。
上の写真の二人、バレリーとマリアンヌも、見ての通り、すごく意志的な顔をしてる。10年前までだったら、こんな男っぽい顔じゃファッションモデルなんてやれなかっただろうな、と思うほど強い顔してる。そのへんのことについて、二人の所属事務所、ガーンズマネイジメントの岩宮泉さんはこう言う。「マリアンヌはほくろが3つもあるし、バレリーは笑うとスキッ歯でも斜視でも僕は大好き。パーフェクトな美人なんて魅力ない。そんなの、パリ・ヴォーグ全盛の頃に終わってると思う」。うーん、なんだか力づけられるような、有難い意見だ。