演劇実験室 天井桟敷 A LABORATORY OF PLAY
僕が芸術を愛し始めたのは「寺山修司」という人物に出会ってからです。
彼は青森で生まれ、幼少より7・5調で会話をし、演劇・コラム・詩を通して言葉の達人になろうとしていた。
現代にも通ずる彼の言葉の錬金術師として生み出してきた、日常を一瞬に異化し非日常へと引きずり込む言葉を紹介したいと思います。
寺山修司 作・演出 阿呆船
大酒飲み、眠り男、法螺吹き、おべっか使い、誇大妄想狂 ありとあらゆるこの世の「阿呆」たちが、大航海へと出帆だ!
法王庁の穴掘り男が、生きた自分を掘り出した。ああ、無頼のあこがれ、太平洋!
「少年倶楽部」の附録になって馬鹿の大凧、空を飛べ!
この「阿呆船」は、演劇実験室・天井桟敷が上演してきた「盲人書簡」「疫病流行記」との3部作となります。「盲人書簡」は、見えない演劇として暗闇で演じられ、「疫病流行記」は、半可視の演劇として、カーテンによって客席を仕切り、分断しながら演じられました。今度の「阿呆船」でも、観客の創造力を刺激して、相互創造してゆくための実験的な試みが準備されています。第二作は、東欧およびオランダなどで上演されて好評でしたが、この「阿呆船」も東京公演の後、ペルシャの古都ペルセポリスのシラーズ芸術祭に招かれ、キャラバン・サライ・モシェの中庭で上演されることになっています。天井桟敷76年の最新作「阿呆船」にご期待ください。