黒澤明 Akira Kurosawa

夢 Dreams

突然の日照り雨。
少年の私は母から「外へ出ていってはいけない。こんな日には狐の嫁入りがある。見たりすると怖いことになる」と言われるが…。

八月の狂詩曲 Rhapsody in August

長崎から少し離れた山村に住む老婆・鉦のもとに一通のエアメールが届いた。
それは鉦の兄であるハワイの大富豪・錫二郎の息子・クラークからで、不治の病にかかり余命短い錫二郎が、死ぬ前に鉦に会いたいというものだった。
ところが、兄弟が多い鉦には錫二郎という兄の記憶がなく、そんな鉦の気持ちとは裏腹に、突然現れたアメリカの大金持ちの親せきに興奮した息子の忠雄、娘の良江はハワイに飛んで行ってしまう。
それによって残された4人の孫・縦男、たみ、みな子、信次郎は夏休みを鉦の家で過ごすことになった。
孫たちは鉦の家の生活に退屈しながらも、長崎の街にある戦争の傷跡や鉦がいつも話す昔話を聞いて、原爆で祖父を亡くした鉦の気持ちを次第に理解するようになる。

白痴 Hakuchi

沖縄から復員して来た亀田欽司は、癲癇性痴呆性で白痴だと自ら名乗る無邪気な男だった。
青函連絡船の中から欽司と一緒になった男に赤間伝吉と軽部という男があった。軽部は、欽司が札幌の大牧場主大野の親類だというとペコペコし、伝吉が、札幌の大金持ち赤間家の息子というとまた驚いて見せた。
伝吉は、政治家東畑の囲い者那須妙子にダイヤの指環を贈ったことから父に勘当されるが、その父が亡くなったので家へ帰るところだった。
欽司は札幌に着いて、狸小路の写真屋に飾られた妙子の写真を見せられその美しさにうたれる。
大野は欽司が帰って来たのを見て、ちょっとあわてた。欽司が父から遺された牧場を大野が横領した形だったからである。
しかし欽司は一向にそんなことには気にかけず…。

天国と地獄 Tengoku to jigoku

ナショナル・シューズの権藤専務は、大変な事件に巻込まれてしまった。
明日まで5000万円を大阪に送らないと、次期総会で立場が危くなるというのに、息子の純と間違えて運転手の息子進一を連れていってしまった誘拐犯人から、3000万円をよこさないと進一を殺すという電話があったからだ。
苦境に立った権藤は結局金を出すことになった。
権藤邸に張りこんだ戸倉警部達は権藤の立場を知って犯人に憎しみを持った。

椿三十郎 Sanjuro