1984年anan 石原真理子 ローズマリー・マグロッサ ドバンナ フランソワーズ・アバン

石原真理子

「私は、ただきれいに顔が整ってるだけのオーソドックスな美人っていうのにはあんまりり興味ないのね。女の人の顔で好きなのは、石原真理子みたいな、小生意気で鼻っ柱の強そうな顔。こういう言い方すると、悪口みたいで誤解されそうだけど、全然そうじゃない。すごく自分の意志がはっきりしそうで大好きなの。他にも、池上季実子とか、原田美枝子とか、倍賞美津子とかが好きなんだけど、みんなそういう意味で「強い」顔だわね。TVに出てくる女子大生みたいに、口をチョンとすぼめてブリッコ子したりしない人が好き。「意地でもそんな顔しない!」っていう気の強さも含めて好き。石原真理子って、いつもノーメイクに近い感じで、それがまた似合ってるけど、メイクしても面白いと思う。はっきりした顔だから、目の端にちょっとシャドーを入れただけでもガラッと変わりそうでしょ。顔も小さいから何着ても似合うし、本当にうらやましい。これからも、どんどん冒険して自分のいい面を探していって欲しいわね」
パルファン クリスチャン ディオール 安河内ユキさん

ナスターシャ・キンスキー
「この前、イタリアンヴォーグの20年展というのを見に行ったら、その年々のトップモデルの顔の変遷が見れて面白かった。例えば’64年のモデルの顔っていえば、眉が細くてきゃしゃで、っていうかんじで、どう見ても不健康で退廃的なの。そこから、年を追うに従って健康ムードへと変わっていくんだよね。今なんか完全に、健康とかストロングっていう時代だと思う。ちょっと前だと知性って言われてたけど、今じゃ知性はあって当然みたいになってきたし。女優で言ったら、ナスターシャ・キンスキーとかマーゴ・ヘミングウェイが僕は好き。健康体って言う感じがすごくする。鍛えていれば当然あるはずの筋肉がちゃんとあるものね。だいたい、あごとか鼻とか口とかがカキカキしてる顔が美的って今言われてるのだって、単純に二重あごは健康的じゃない。怠惰な感じだ。ということの裏返しだと思う。だんだんみんな、洋服とかメイクに疲れてきて、どんどんシンプルに、ペールになってきてる。これからは、内面で勝負の時代なんだろうね。
写真家 半田也寸志さん

ジェシカ・ラング

「サム・シェバードとジェシカ・ラングが共演、というんで話題をまいた映画「カントリー」をニューヨークで観てきました。ジェシカ・ラングはこの中で、アメリカの平均的な酪農一家の主婦というのをやってるの。それも、借金のかたに家をとられ、旦那は家出、という散々な状態の中で、3児を抱えて切り盛りする肝っ玉かあさんの役。ほとんどノーメイクで出てるんだけど、彼女、決して美人じゃないのよね。そばかすはあるし、目のあたりのしわなんてすごいし。でも私は大好きな顔だわ。芯の強い、知性に満ちた顔だと思う。特に鼻から下が好きね。シャープなあごとか、キリッとした口もととか、すごく魅力的。彼女は「キングコング」のあと結構長いスランプがあったらしいけど、そういう時期をバネにして、確実に成長したと思う。顔も表情も演技も、今の方が絶対にいいもの。私生活でも一緒に暮らしているサム・シェバードとの仲も、平衡を保った関係という感じで好感が持てるし、ナチュラルに生きてる女性よね。
テキスタイル・デザイナー 樋口雅子さん

フランソワーズ・アバン

僕が洋服をデザインするときにイメージするのは、ショートカットとかの、中性的な感じのする女性。断然、ロマンチックじゃない方が好きみたい。ブスでもちっとも構わない。大事なのは雰囲気だと思うんだよね。大体、シワのある服だって今は「きれい」って言える時代でしょ。顔だって同じだと思う。いい顔っていうのは、フランス人形みたいな顔じゃなくて、個性の出ている顔の事なんじゃないかな。個人的に特に好きなのは自が混じっている顔。例えば、このフランソワーズ・アバンの顔なんかは大好き。彼女はエルのスチリストなんだけど、フランス人とベトナム人の混血で、すごく素敵な人。コム・デ・ギャルソンやヨージ・ヤマモトを最初に取り上げたのも彼女だった。向こうではかなり有名な人。彼女自身はずっとパリで生まれ育っているはずなんだけど、なぜかそのスタイリングの中には東洋が香るんだよね。すごくヨーロッパナイズされた東洋ではあるんだけど、やっぱり「血」なんだろうね」
AT デザイナー 田山淳朗さん