ベルナルド・ベルトルッチ Bernardo Bertolucci

1900年 1900

1900年の夏、ベルリンギエリ大農園にふたりの男児が誕生した。
地主であるアルフレード・ベルリンギエリの次男ジョヴァンニの子で祖父の名をそのまま継ぐアルフレードと、小作人頭で大家族の長レオ・ダルコの娘ロジーナの子オルモだ。
それから七年ほど後の農園。長男のオッタヴィオは家風に逆らい放蕩の旅に出たままなので、今はジョヴァンニが権力をふるっている。
成長したアルフレードとオルモの二少年は、いつも喧嘩ばかりしているが、深い友情で結ばれていた。
祭りの日、老ベルリンギエリが自殺し、ジョヴァンニが自ら作った遺言で正式に当主となった。
1918年秋。
第一次大戦から復員するオルモ喜ぶダルコ一家。

ラストタンゴ・イン・パリ Last Tango in Paris

ある冬の朝、パリのアパートの空室で男女が偶然に出会った。
中年の男ポールと若い娘ジャンヌは、お互に興味も持たず室内を点検していたが、間違い電話に刺激された男の強い腕がジャンヌを捕えた。
行為が終ったあと、二人は何事もなかったように別れた。
ジャンヌにはTVプロデューサーのトムという婚約者があった。
いまトムは、彼女を主人公に「少女の肖像」というドキュメントを製作している。
ジャンヌはあのアパートでの悪夢にも似た一瞬の暴力が忘れられなかった。
彼女は憑かれたように再び部屋を訪れた。
彼女がひそかに予想していたように、ポールがいた。
彼は提案した。ここにいる間はただの男と女。
名も知らず、過去も一際明かさない。ここではセックス以外存在しない、と。

暗殺の森 Il Conformista

どう見てもマルチェロは若くて健康な青年だったが、十三歳のとき体験した事件が深く心につきささり、今もってぬぐいさることができない。
あれは学校の帰り道のときだった。
友だちにいじめられているところを軍服姿のリノが助けてくれ、家に連れていかれた。
リノはかつて牧師であり、その自分が少年に慾望を抱いたことで傷つき、マルチェロに拳銃を渡し、撃つように頼んだ。
マルチェロは引金をひいてその場から逃げた。
大人になったマルチェロは、殺人狂かもしれない自分の血筋から逃れるために、熱狂的なファシストになっていった。
大学で哲学の講師をしている彼は、大佐から近く内務省に出頭するよう命じられた。

ベルトルッチの分身 Partner

大学で教鞭をとる孤独な青年ジャコブはある夜、友人の若い男を突然ピストルで射殺してしまう。
後日、ジャコブは何事もなかったかのように、好意を抱いている大学教授の娘クララの誕生日パーティーにやってくる。
しかし、そこでの奇抜な振る舞いにより、会場から追い出されてしまう。帰り道、ジャコブの前に巨大な影が現れる。
その日から、ジャコブは自分の“分身”と、奇妙な共同生活を始めることになる……。

革命前夜 Prima della rivoluzione

62年4月、復活祭の少し前のとある日曜、共産党員でマルクス主義者を自認するファブリツィオは、自らも属するブルジョワ階級の婚約者クレリアとの訣別を決意し、最後に一目彼女を見ておこうとパルマの教会へと向っていた。
そんなある日、彼は13歳の時からの親友アゴスティーノの突然の死に、深いショックをうける。
その頃、ミラノの生活の倦怠に苦しみ神経症気味のジーナがファブリツィオの家に滞在し、やがて彼は母の妹である彼女と愛しあうようになるが、家族は誰も二人の関係に気づかなかった。