洞爺湖畔 石窯パン屋〈ラムヤート〉

映画『しあわせのパン』の舞台になり、店主の今野満寿喜(ますき)さんは札幌からの移住。
「僕らがパン屋を開店したとき、近所の方から、当時店がひとつもなかったこの通りに約20年ぶりの店ができたと言われました」


売上の上限を決め、週2日営業で慎ましく暮らし、生きるに迷走する世の中に静かに力強く働き方改革を提言。
自己完結する生き方、人生の残り時間の使い方、地域への感謝の返し方をテーマに日々を暮らす。
夢は「何をしなくても、しても良い時間を多く持つこと」。

「パンづくりで大切にしているのは、まず廃棄しないこと。
たくさんつくって経済を回すのでなく、生きるのに使うお金をなるべく小さくしていきたいんです。
そして、自分が暮らす地点から近いところでつくられた、いい素材を選ぶことを大事にしています」
そんな風に考える満寿喜さんが洞爺に移住したきっかけは、「ここで暮らしていきたい」というシンプルな思いでした。
「お金がなかったので、洞爺の廃材や什器だけで店づくりをしてきました。なるべくすべてを地産地消でやってみようと思って」
ラムヤートの存在と洞爺湖の土地の魅力が多くの人を惹きつけ、今、湖畔には新しいお店が続々とオープンしています。
お店の裏手には、焼き菓子店〈しまりすや〉と、アンティークの布を扱う〈nii〉が小さなお店をかまえ、ラムヤートお隣には暮らしにまつわる商店〈toita〉が。
いずれのお店も、満寿喜さんが声をかけた道内外の友人が営んでいます。
このほかにも、静かで穏やかな時間の流れる湖畔では、あちこちに点在するお店巡りを楽しむことができます。

Summer Records 奈良さんが洞爺で過ごした夏の記録

現代美術家の奈良美智さんが洞爺で過ごした2022年の夏を記録した一冊です。
昨夏に洞爺湖畔にて開催した、洞爺の子どもたちと美術家・奈良美智さんの絵の共同制作プロジェクト「ふらっと奈良さんと」。
ごく小さな地域でひと夏かけて行なわれた、アートプロジェクトの全貌を1冊の記録本にまとまっています。
近年、北海道のローカルで活動することが増え、子どもたちと触れ合う機会も増えているように感じる奈良さん。
どうして小さな町のコミュニティに足繁く顔を出してくれるのか?

僕がラムヤートに伺ったとき偶然に奈良美智さんがいらっしゃった。
ぼくは奈良さんのファンだったので、一目で奈良さんだと理解しました。
しかし、何故こんな地方に奈良さんがいるのか解りませんでした。
お店には奈良さんの本が並べられて、とうやこちゃんTシャツが売られていました。
奈良さんが外に出て、子供たちと座って会話をいていたのでこっそりとご主人に、お話を伺いました。
洞爺湖が気に入って、制作を続けているようでした。
不思議な出会いに感謝。