エドワード・ヤン Edward Yang 台北ストーリー 《青梅竹馬》 Taipei Story(1985年)
台北市内のガランとしたマンションの空き家を訪れる男女二人。
女は、ステレをあそこに、テレビはここに、と夢を膨らませている。
男は気のない様子でバッティングの素振りのフォームをしながら「内装に金がかかりそうだ」、「わたし、今度昇進するから大丈夫」。
女はアジン。
不動産ディベロッパーで働くキャリアウーマンだ。
男はアリョン。
少年時代はリトルリーグのエースとして将来を嘱望されていたが、いまは家業を継ぎ、廸化街で布地問屋を営んでいる。
二人は幼なじみ。
過去にはそれぞれいろいろとあったようだが、なんとなく付き合いが続いている。
順調に思えたアジンの人生だったが、突然勤めていた会社が買収され解雇されてしまう。
居場所を見失ったアジンは、アリョンの義理の兄を頼ってアメリカに移住し新たな生活を築こうと、アリョンに提案する。
しかしアリョンにはなかなか踏ん切りがつけられない。
ここには少年野球の仲間もいるし家業もある。
一度は決心して資金を作るため家も売るが、昔気質のアジンの父親が事業に失敗するとその肩代りに奔走することになる。
すきま風が吹き始める二人の間に、ある過去の出来事が重なり、そしてやがて思いもよらない結末が訪れる……。