クロード・ミレール Claude Miller
いちばんうまい歩き方 La Meilleure façon de marcher
Dites-lui que je l’aime クロード・ミレール Claude Miller
死への逃避行 Mortelle randonnée
イザベル・アジャーニが、無意識に金持ち男に取り入って殺人を繰り返し、そのたびに人格を変える魔性の女を演じ、見事なカメレオン女優ぶりを見せる。
彼女を追う敏腕私立探偵氏も、大分おかしな人物である。
彼の詩的な独白で物語は運ばれていくのだが、離婚した妻に引きとられた娘に、彼女を重ね合わせているらしい。
それで、仕事の領分を逸脱してまで、執念の尾行を続けるのだ。
なまいきシャルロット L’Effrontée
7月のパリ。夏のバカンスにわくリセエンヌたちにまじって、13歳のシャルロットはなんとなく憂鬱だった。
何故だか自分でもよく分からないが、無骨で頑固な父や口の悪い兄、メイドで亡くなった母代わりのレオーヌに、ついあたってしまう。
そんなある日、教室に行こうとしたシャルロットの耳に、音楽室から美しいピアノのメロディが聞こえてきた。
おもわず覗き込んだ彼女はそこで、同じ13歳の天才少女ピアニストのクララの姿を目にする。
優雅で自信に満ちた彼女を見たシャルロットは、自分の中で憧れとも嫉妬ともつかない奇妙な感情に揺さぶられるが……。
思春期の少女だけが持つ、開かれた未来に対する不安、他人の美しさや才能に対する憧れと嫉妬、無邪気にのびのびと夢を描くような少女の感性の世界を、美しい映像とテンポのいい音楽、そして温かな視線で描いた青春映画の快作。
小さな泥棒 La Petite Voleuse
1950年、フランス中部の小さな町。
16歳のジャニーヌ・カスタンは、伯父さん夫婦と一緒に暮らしている。
市場で商売をしている伯父は優しいが、伯母は働きのない彼女に冷たくあたるばかり。
そんなジャニーヌの唯一の慰めは、5年前に彼女を残して去ってしまった母親からの手紙を待つことだけだった。
退屈な家や学校から逃れて映画館にもぐり込むか、小さな盗みをする日々を送るジャニーヌ。
今日も彼女は、授業を終えると公衆トイレでワンピースに着替え、ハイヒールを履いて街に出た。
映画館の前でアメリカ兵からタバコを失敬した後、洋服店でペチコートを万引きして家に帰る彼女。
しかし、その様子を見ていた店主が家にやって来た事で、彼女の今までの悪戯が伯父夫婦にバレてしまう……。
伴奏者 L’Accompagnatrice
80歳以降本格的に文筆活動を始めたというN・ベルベーロワの原作を元に、女を描き続けたトリュフォーの、名実共に継承者であるC・ミレールが織りあげた妙なる愛の映画だ。
彼自ら“視線の映画”と呼ぶ、巧みに計算された眼差しの交わり或いはすれ違いを、完璧に視覚化し映画的昂揚を生み出している。
世界的なプリマ、イレーヌの専属ピアニストになった少女ソフィは、美しく奔放な彼女にあこがれる一方、憎んでもいた。
常にスポットライトを浴びるのは当然、と傲慢な所もある女だったが、事業家の夫は溢れるばかりの愛をイレーヌに注いでいた。
やがてナチの台頭凄まじく、対独協力者に見えた彼はカバン一つで、妻とソフィを連れロンドンに渡る。
オディールの夏 Le Sourire
フランスの監督クロード・ミレールが、日本の文豪川端康成の不朽の名作『眠れる美女』をモチーフとして撮った作品。
パリ郊外の避暑地、静かな精神病院。
院長ピエール=フランソワは、魅力的な初老の男。
彼は、再度心筋梗塞の発作が起きると死ぬかもしれない事から、最後の女を、最後の夢を見つけたいと日頃から願っていた。
そんなある日、列車に乗っていたフランソワは、同じコンパートメントで眠りこけている若い女、オディールの姿を見て一目惚れしてしまう……。
本作でミレールは、死を間近に本能的に性愛に向かう女性像を、退廃に溺れずナチュラルに、そしてエロティックに描いているが、その性描写は、淫蕩でありながら清潔さを感じさせる描き方をしている。
ニコラ LA CLASSE DE NEIGE
不安でたまらないニコラはどんどん悲観的な妄想が頭に浮かんでしまう。
そんな彼にパトリック先生は、念じれば必ず願いが叶うという腕輪をプレゼントする。
やがて、ニコラの周りで悪夢のような恐ろしい出来事が起こり始める……。
リリィ La Petite Lili
チェーホフの戯曲「カモメ」を映像化。
フランスの田舎町の静かな夏休み、映画監督を目指すジュリアンは家族や恋人を集め、自主映画の上映会を開いた。
ジュリアンの恋人・リリィはその場にいた映画監督のブリスと互いに惹かれ合い家を抜け出してしまう。
5年後、すでにブリスとは離れ、大スターとなっていたリリィは、ジュリアンが映画監督デビューを果たすというニュースを聞く。
映画は、彼女の半生を描いたものだった…。
ある秘密 Un secret
戦後のフランス。
ひとりっ子の病弱な少年フランソワは、頭の中でお兄さんを作り出して遊んでいた。
そんな息子を疎ましく思う健康的な父親マキシム。
ある日、フランソワは、屋根裏部屋で兄が存在した形跡を見つけ、これをきっかけに家族のある秘密へと近づいてしまうのだが…。
クロード・ミレール Claude Miller
クロード・ミレール Claude Miller
1942年4月20日、フランス・パリ生まれ。少年時代から映画に熱中し、IDHECに入学する。
卒業後は、ロベール・ブレッソンやジャン=リュック・ゴダールの助監督などをつとめた。
1966年よりフランソワ・トリュフォーのもとで製作主任として約10年間働く。
1976年、「一番うまい歩き方」で監督デビュー。
セザール賞の作品賞、監督賞、脚本賞でノミネートされ、注目を集めた。