レオス・カラックス Leos Carax
ホーリー・モーターズ Holy Motors
夜もふけた頃に、ホテルの部屋で目を覚ました男レオス・カラックスが、隠し扉を発見し下りていくと顔のない観客たちであふれた映画館へと続いていた。
一方、オスカーは豪邸から子どもたちに見送られて真っ白なストレッチリムジンに揺られて出勤。
TOKYO!「メルド」 Tokyo! “Merde”
大都市の喧騒の中、突如マンホールから一人の謎の人物が地上に現れる。
赤毛の髪、長く伸びたあご髭、すりきれた緑色の服に身を包んだその姿は、どこをとっても異様な風貌だ。
その人物メルドは、心臓に手を当てた独特の歩き方で、銀座の中央通りに侵入し、道行く人々に危害を加え始める。
奪った花を食べながら驚異的なスピードで東京の中心街を闊歩し、またマンホールへと姿を消していく。
ポーラX Pola X
ハムレットの独白が重なる戦闘機による墓地の空爆シーンから一転、美しい裕福な田園風景。
ピエールと母マリーは森に囲まれたノルマンディの城館に暮らす。
そして美しいピエールの婚約者リュシー。
そこは光に満ちあふれていた。
そこへ突然闇の世界から”姉”と称して出現する謎のボスニア移民イザベル。
ポンヌフの恋人 Les Amants du Pont-Neuf
真夜中のパリ、人気のないセバストポル大通りの真ん中に横たわる男の足を一台のスポーツカーが轢いていく。
それをなすすべもなく見つめる子猫を抱いた女。
その男、アレックスは今は修理のため閉鎖中のポンヌフ橋で暮らす天涯孤独の青年で、女は恋の痛手と眼の奇病を持つ画学生ミシェルだった。
数日後、収容所を抜けてポンヌフに戻ってきたアレックスはミシェルがそこで眠り込んでいるのを見つけ、橋に暮らす初老の男ハンスに彼女をここに置いてもらうように頼む。
汚れた血 Mauvais sang
あと数年で21世紀を迎えようとしているパリだが、街には格別の変化はなく、ただ地下鉄が真赤に塗られ、彗星が近づいているために夜が恐ろしく暑かった。
そして人々は、愛のないセックスによって感染するまだ治療法がみつからない新しい病気「STBO」の蔓延に恐怖を抱いていた。
ボーイ・ミーツ・ガール Boy Meets Girl
アレックスは失恋したばかり。
恋人フロランスは親友のトマのもとに去った。
アレックスは壁の絵の裏の「自分史」に新たに書き入れる。
「最初の殺人未遂、83年5月25日。グロ・カユーの河岸にて」。
一方、ミレーユも恋人ベルナールと喧嘩別れした。
外に出たベルナールがインターフォンで中のミレーユと話すのを聞きとめたアレックスは、ベルナールの後をつけてカフェで彼のメモを拾う。
ミレーユとベルナールにあてたパーティへの誘いだった。
レオス・カラックス Leos Carax
16歳で学校を中退、18歳から『カイエ・デュ・シネマ』誌上で批評家として活動。
20歳で監督した短編『Strangulation blues』がエール映画祭グランプリを受賞。
『カイエ』誌での批評経験の経緯と、その難解さ、引用の複雑さ、そして何より斬新さから「ジャン=リュック・ゴダールの再来」と評される。
私は自分を映画作家だとは思っていない。
時々人生の中で映画を作っている人と考えている。
映画を作っていなくても平気でいられるし、旅をするとか、本を読むとか、恋をするとか、病気をするとか、何か書き物をするとか、普通の過ごし方をする。
私は映画を作る度に自分に失望してしまうので、そこから立ち直る期間も必要だ。
20代で3本、30代で1本、40代で短編1本なので、だんだん映画を作るのが間遠になってきているけどね。