ベルナルド・ベルトルッチ Bernardo Bertolucci

孤独な天使たち Io e te

巨匠ベルナルド・ベルトルッチの「ドリーマーズ」(2003)以来およそ9年ぶりとなる監督作。
孤独を愛する14歳の少年ロレンツォは、学校のスキー旅行に行くと両親に嘘をつき、まる1週間好きな音楽と本だけに囲まれて暮らそうと計画する。
しかし、思いがけず異母姉のオリヴィアが現れたことですべてが一変する。
少年時代との別れを迎えるロレンツォと、2人だけのかけがえのない時間をみずみずしく描き出す。
「ぼくは怖くない」の原作者としても知られるニコロ・アンマニーティの同名小説が原作。
ベルトルッチ監督が、およそ30年ぶりに母国語であるイタリア語で撮り上げた作品。

ドリーマーズ The Dreamers

1968年、5月革命に揺れるパリ。
19歳のアメリカ人留学生マシューは、通いつめていたシネマテークで繰り広げられていたデモの最中に、イザベルとテオという魅惑的な姉弟と出会う。
3人は意気投合し、マシューは、姉弟の両親がバカンスで留守にするアパルトマンに泊めてもらうことになった。
一つのベッドに裸で寝ている姉弟の姿にマシューは戸惑いつつ、3人の奇妙な同居生活が始まる。
彼らは議論や映画クイズに明け暮れる快楽的な日々を過ごすが、それは性のゲームへと展開していく。
クイズの罰ゲームの名のもとに、テオの目の前で、マシューとイザベルはセックスする。
イザベルが処女だったことに驚くマシューだが、続けて彼らは愛し合う。
3人は部屋にこもりっきりの怠惰な生活を送り、やがて金も尽きていく。
そして姉弟の関係に、より深く介入しようとしたマシューは、彼らの分身同士のような絆から徐々に疎外され始める。

10ミニッツ・オールダー イデアの森 Ten Minutes Older: The Cello ベル

8人の監督が描く人生の瞬間。
「水の寓話」インドの寓話をベースに、故郷・イタリアを舞台に独特の映像美と秀逸なストーリーで魅せるベルナルド・ベルトルッチ。
「時代×4」4分割スクリーンのワンカットというセンセーショナルな手法で”記憶の不連続性”から時間にアプローチした、マイク・フィギス。
「老優の一瞬」30年近く交流のあった老優ルドルフ・フルシンスキーの人生を10分に凝縮した耽美の一作をまとめたイジー・メンツェル。
「10分後」倦怠期に差し掛かったある夫婦の日常を通して、人生の一寸先の未知の時間を描くイシュトヴァン・サボー。
「ジャン=リュック・ナンシーとの対話」急行列車の中で、哲学者ジャン=リュック・ナンシーと若い女性アナのふたりが時を忘れさせるほどの熱い議論を交わす姿を映し出したクレール・ドゥニ。

シャンドライの恋 Besieged

アフリカ人のシャンドライは、政治活動をしていた夫が逮捕された後イタリアに渡り、音楽家キンスキーの掃除係として住みこみで働きながら医大に通っていた。
ある日、シャンドライはクローゼット代わりに使っているリフトの中から疑問符の書かれた五線譜を見つける。
リフトはキンスキーの部屋とつながっており、その後もリフトを通じランの花や指輪が贈られ続けた。
戸惑ったシャンドライが指輪を返しにキンスキーの部屋に行くと、今度はプロポーズされてしまう。
言葉は交わさなかったが、キンスキーは彼女の働きぶりに好意を抱いていたのだ。

魅せられて Stealing Beauty

ルーシーは詩人だった母サラの自殺後、トスカーナ地方に住む母の旧友たちを訪ねる。
理由のひとつは20年来ここに住んでいる彫刻家イアンのモデルを勤めることだが、自分の本当の父を探すという目的もあった。
イアンと妻ダイアナの所には娘ミランダとその愛人リチャードや人気人生相談のノエミ、画商のギヨーム氏、それに白血病で余命いくばくもない作家のアレックスらも逗留している。
ルーシーはアレックスに親しみを感じ、自分がまだ処女であることなどを打ち明ける。