それぞれに美しい、フランス女優たち
イザベル・アジャーニも忘れてはならない存在です。
色が白く、ブルーの瞳とサクランボのようなロ元で、完壁な顔立ちの彼女は、ピューティのアイコン。
ある監督が「アジャーニはキャンドルの光でライティングできる」と評したほど肌の色は格別で、光をキャッチします。
彼女は古典的な意味のスター。
サングラスをかけた神秘的で手の届かないスターです。
でも素顔はピエロのようで、この上ないファンテジー (気まぐれ、奔放さ)の持ち主。
こちらが怖けづくほど美しいが、ユーモアと笑いがそれを緩和し、より魅力を増しています。
加えて知的で自分の意見を持っている。
先日のインタビューでは、「SNSの出現でスターの作り方が変わった。光を当てて才能を輝かせるのではなく、 光の量とフォロワーの数が価値を決める」と分析して言ってみたり、先の見えない現代の空気感について、「いまの気分はボードレールのよう。憂鬱と理想、『悪の華』のアンフェージョン(煎じ茶)とシャンパンの泡の間を行ったり来たり……」と表現したりします。
彼女の言葉にはとても深い意味や、スピリチュアルな部分があるのです。
ファニー・アルダンもシックでアリュールがある女性。
そして彼女もファンテジーのある人です。
ファンテジーとは他者を魅了すること、これも美しい女の要素です。
マリオン・コティヤールはナチュラルにしているとフラン ス的なイメージ。
ですが、メイクをしてドレスを着ると、あっという間にアメリカ風に変身します。
このカメレオン的な部分がハリウッドで成功した理由でしょう。
彼女は以前からグリーンピースの環境保護活動に参加していることも有名。
いまの女優たちにとって、メッセージを体現することも大事です。
10歳くらいの頃から見てきているせいか、ちょっと別格な存在なのはヴァネッサ·パラディ。
彼女はモードのアイコンでもあり、外見がまるで少女のまま。
だからモダンで、若い人にも響く。
一方、『ラ·ブーム』(1982年)でデビューして同じようにティーンの頃から知られているソフィ・マルソーは、フランスの大人の女性のイメージ。
スタイルアイコンやパリジェンヌのイメージとは違います。
ふたりともプランス人がその成長を見てきた、美しい女性ですね。
フランス女優の代表であるジャンヌ・モローは、60年代当時には外見が好まれなかった。
本人から聞いた話ですが、ジャン=ボール・ベルモンドと映画を撮っている時、当時のメディアは「最も酸い男と最も酸い女の出会 い」とタイトルをつけたそうです。
ジャンヌはとても知的で、インテリ。
マルグリット・デュラスなど、いつも彼女を上に引っ張り上げる人物と交流していた。
ヌーヴェルヴァーグのミューズで、才能を引きつけ、才能を贈り返した。
それもフランス女優の美しさの在り方です。