ニコラ・フィリベール Nicolas Philibert ぼくの好きな先生 Etre et avoir

教育というものを見つめ直させるドキュメンタリー作品
「音のない世界」で、「すべての些細な事柄」など一貫して人間や自然をテーマとしたドキュメンタリー作品を撮り続け、世界中で多くの喝采、受賞を受けている映画監督 ニコラ・フィリベール。
そんな彼の待望の最新作が、この『ぼくの好きな先生』である。
この作品、フランス本国ではドキュメンタリー作品としては異例の規模で公開され、大ヒットを記録。
また、ヨーロピアン・フィルム・アワード最優秀ドキュメンタリー賞の受賞をはじめ、各地の映画祭での受賞や喝采を浴びている。
物語の舞台はフランスの中部、オーベルニュ地方の小さな学校。
このたった一つの教室しかない小学校の中で繰り広げられるたった一人の先生と3歳から11歳という年齢もまちまちな生徒の関係をカメラは捉えていく。
監督はこの作品を撮ることになった理由について、元々は農村を題材にひとつの計画を練り上げていたが、それが破綻寸前に追い込まれた農業者との出会いを探し求め歩くうちに、村の小さな小学校を題材に作品を撮るという構想にかわってきた。
随分と前から読み書きの学習をテーマに何かをしてみたいと考えていたことの時が自然と熟したのではないか、と語っている。
そして、こうした学校のリサーチを5ヶ月程続け、この作品の舞台となっている学校に出会ったのだという。
その決め手となった要因のひとつとして、監督は学校のたったひとりの先生 ロペス先生の個性に惹きつけられたことをあげている。
監督も惹きつけられたというロペス先生の魅力、子供たちの可愛さや素直さなど続いていく日常の一部を確実に捉えたこのドキュメンタリー映画は牧歌的な雰囲気や笑いと感動に満ちている。
そして、見終わった後に自分の学生時代と照らし合わせ、ぼんやりながらも色々と考えるだろう。
僕自身は、学校に行くことをこんな風に楽しいと思っていただろうか。
教えてもらうとか、教えるということがこんなに楽しかっただろうか。
そういうことと、幸せということを照らし合わせながら考えていた。
フランス中部、オーベルニュ地方の小さな村。雪が降り積もった山道を1台のワゴン車が、子供を乗せて走っていく。
このワゴン車は、この村にたったひとつの小学校サンテイエンヌ校へと生徒を運ぶスクールバス。
子供たちは毎朝バスに乗り学校へ行き、バスに乗って学校から帰ってくる。
サンエテイエンヌ校はたったひとつの教室とたったひとりの先生、わずか13人の生徒しかいない小学校。
学校の先生の名前はジョルジュ・ロペス。
この学校で20年以上にわたり、教鞭をとり続けている。
先生は今までの経験を活かし、生徒たちに教室や屋外で授業を続けていく。
生徒たちも、時には喧嘩をしたり、先生を困らせたりしながら、授業を受けていく。
そこにあるのは先生と生徒の信頼。
そしてそんな中、日々は着実に過ぎていく・・・。

ニコラ・フィリベール Nicolas Philibert ぼくの好きな先生 Etre et avoir