T2 Trainspotting トレインスポッティング2
トレスポの90年代は、「70年代~80年代の空気をいっぱいに吸い込んだ90年代」なのである。使われていた音楽が90年代の音楽だけではなかったこと、それどころかフタを開けてみれば映画の中心を占めていたのは70年代、80年代の音楽であったことが、今となればなおさら大事なことに思える。もし「トレスポ」が「90年代の空気を~」なんていうキャッチフレーズでもって劇伴を当時の若手ミュージシャンで固めていた映画だったら、当時の成否はさておき、今こうして続編が作られることはなかっただろうと思う。「トレスポ」の音楽。ブラーそしてデーモン・アルバーン。デーモンと付き合っていたと話題にもなったヴォーカリスト、ジャスティーン擁するエラスティカ、そしてアンダーワールド。旬のアーティストは確かにいた。しかし彼らを大事に起用しながらもそれは入り口であって、その奥には70年代、80年代の名曲達が待っていたのだ。その重みが単なる流行りの映画を、時代を超える名作にまで押し上げたのだ。