エリック・ロメール Eric Rohmer

愛の昼下がり L’Amour l’après-midi (1972年)

パリの弁護士のフレデリックは郊外の高級集合住宅で、英語教師の妻エレーヌと赤ん坊の娘アリアーヌと幸福に暮らしている。
彼は時間に束縛されるのが嫌でジェラール共同で独立の事務所を開き、妻とも愛し合いながらもお互い干渉しない関係を保っている。
ある日フレデリックの事務所に、大学時代の親友の恋人だったクロエが押しかけてきた。
最初は迷惑顔のフレデリックだが、クロエが同棲相手と別れて新しい部屋を借りるのに付き合ったのをきっかけに、仕事のあいまを縫って彼女と会うのが楽しみになる。
ある晩、クロエが無理にでも彼の助けが必要だといい、彼が妻に嘘をついて時間を空けてやると、約束をすっぽかして行方不明になった。
それからしばらくしてフレデリック夫妻は長男のアレクサンドルが生まれた。

モンソーのパン屋の女の子 La Boulangère de Monceau (1962年)

私は法学生、親友のシュミットと一緒のとき、シルヴィとすれ違い、彼女に興味を覚える。
いざこざがあった後、私はたまたま彼女と道でぶつかって再会、荷物を落としてしまったお詫びにとお茶に誘うが、今日は忙しいからと断られる。
そのご一週間たっても彼女から連絡はない。
私はシルヴィを探して町を歩きまわり、毎日のように同じパン屋でサブレを買うようになる。
シルヴィが現れないのでやけになった私はこのパン屋の売り子ジュリエットをデートに誘う。

シュザンヌの生き方 La Carrière de Suzanne (1963年)

薬学科の学生ベルトランが友人ギヨームとカフェで会っているとき、ギヨームはたまたま隣に座ったシュザンヌに声をかける。
ギヨームは彼女を自宅のパーティーに誘う。
パーティーでベルトランは密かに心を寄せるアイルランド人留学生のソフィーと話したがったのだが、すでにギヨームのべったりのシュザンヌのことばかりが目につく。
招待客が帰ったあと、ギヨーム、シュザンヌ、それにベルトランの三人は降霊術をやる。

モード家の一夜 Ma nuit chez Maud

あと数日でクリスマスを迎えるという日曜日、地方都市クレルモンフェランに移り住んでいた技師で敬虔なカトリック教徒である「私」は教会のミサに出かけた。
そこで見かけたフランソワーズが祈りを捧げる横顔に心を奪われ、彼女こそ自分の妻になる女だと確信する。
ある日、「私」はレストランでかつての同級生で、今は大学で哲学を講じるヴィダルと14年ぶりに再会し、彼に誘われてモードの家を訪れる。

コレクションする女 La Collectionneuse (1967年)

画廊のオープンを間近に控えたアドリアンがロンドンに出張するモデルの恋人ミジャヌーの誘いを断り、久々の休暇と骨董収集家との商談のためサントロペの友人の別荘に滞在し、現代美術作家の友人ダニエルと、アイデという娘と出会う。
日の出と友に海で過ごし、暗闇の到来と同時に床に就くといった静かで規則的なアドリアンの休暇に対し、個人主義なダニエルと自由奔放なアイデ。
彼女の存在など意識せず一人で穏やかな時の流れに集中していたアドリアンだったが、次第にアイデの存在に心乱されていく。

クレールの膝 Le Genou de Claire

結婚を前にして少年時代を過ごしたアンヌシー湖畔のタロワールにある別荘にやって来たジェロームは、そこで偶然友人の女流小説家オーロラ(オーロラ・コルニュ)と出合う。
彼女はジェロームの幼な友達だったヴォルテール夫人の家に部屋を借り、本を執筆していた。
夫人の家を訪ねたジェロームは、彼女の中学生の娘ローラに興味を抱く。

O侯爵夫人 La Marquise d’O… (1976年)

イタリア北部のM市で奇妙な新聞広告が出た。
未亡人O侯爵婦人が知らぬまに身ごもったので、父親に名乗り出て欲しいという内容である。
この謎めいた事件の真相は……数カ月前の戦争で、Mの要塞がロシア軍に陥落した。
司令官である大佐の娘O侯爵婦人は兵士達に襲われそうになったところをロシア軍の伯爵に助けられる。

エリック・ロメール Eric Rohmer

本名はJean-Marie Maurice Sche’rer。
教師、小説家を経て、映画批評を書くようになる。 “カイエ・デュ・シネマ”誌の創刊に参加、編集長を7年間ほど務めた。
やがて50年から短編を手掛け始め、59年に初の長編「獅子座」を監督、作家主義を貫いた作風がヌーヴェル・ヴァーグの支柱となった。
他に「モード家の一夜」、「海辺のポーリーヌ」、「緑の光線」、「パリのランデブー」などがある。