ルイス・ブニュエル Luis Bunuel

フランコ・ネロとナタリー・ドロンの サタンの誘惑(1972) THE MONK LE MOINE

貞節を守る信仰心の厚い神父が若い女性信者になりすました魔女の誘惑に負けて体を重ねてしまう。
悪魔の力を借りて若い娘にせまったあげく殺人まで犯してしまった神父は、罪を悔い神の許しを得ようとするが再び魔女にそそのかされて悪の道へ引きずり込まれてしまう……。

自由の幻想(1974) LE FANTOME DE LA LIBERTE

1808年、スペインの卜レド。ナポレオン占領下のここでは、抵抗するスペイン人が処刑される。
「自由くたばれ!」という彼らの叫び--。
現代のパリ。
少女がある紳士より、絵葉書をもらい、母のフーコー夫人にそれを見せる。
「いやらしい!」という夫人と夫のフーコー(ジャン・クロード・ブリアリ)は、やがて興奮していく。

欲望のあいまいな対象 Cet obscur objet du désir

スペインの南の町セビリア。
一見平和なこの町でも、正体不明のテロ事件が頻発していた。
初老のブルジョワ紳士マチュー・ファベールが、あわてて駅にやって来てパリ行きの切符を買った。
バカンス・シーズンの観光客で混雑する駅。マチューが乗り込んだ一等のコンパートメントには、子連れの婦人、判事、心理学教授が乗り合わせた。
そこへ、マチューを追って若い女がやって来る。
追いすがる彼女に、マチューは頭からバケツの水をかけた。
マチューの振舞に非難の目を向けるコンパートメントの面々。

ルイス・ブニュエル LUIS BUNUEL

1900年2月22日、スペインのカランガ生まれ。
敬虔で裕福なカトリック教徒の長男として育った。
子供の頃は昆虫が大好きだったという。
神学校では優秀な成績をおさめ、大学在学中からシネクラブ運動の先駆的役割を果たした。
1925年、ブニュエルはパリへやってくる。
前衛画家のダリと組んで、1928年には、シュールリアリズム前衛映画「アンダルシアの犬」を発表し、世界の注目を浴びた。
1930年、第二作「黄金時代」を発表。
ブルジョワ社会や宗教を皮肉った、その内容の過激さから、劇場内は騒然となり、上映は全面的に禁止されてしまう。
そして、祖国のスペインで内乱が起き、フランコ軍がドイツ軍の援助により勝利するのだが、反フランコの映画をいくつか撮っていたブニュエルは、無神論者として告発される。
そのため仕事ができなくなり、ブニュエルは、1947年、メキシコに渡る。
1950年には「忘れられた人々」でカンヌ映画祭監督賞を受賞。
1964年、ブニュエルはフランスに戻ってくる。
1967年には、女性の内面と性をえぐりだした「昼顔」でヴェネチア映画祭の金獅子賞を受賞。
1972年の「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」では、アカデミー外国語映画賞を受賞した。
作品を通して、常識と社会に反抗し、真に人間的な生き方を問いつめ続けた。
1983年7月29日、肝硬変のため死去。