ジャン=リュック・ゴダール jean-luc godard

ヌーヴェルヴァーグ nouvelle vague 1990

大財閥の女当主、エレナ(ドミツィアーナ・ジョルダーノ)は交通事故に遭った記憶喪失の男、ロジェ(アラン・ドロン)を救う。
その日からロジェはエレナと行動を共にし、彼女の屋敷に住み始めた。
だが、必然のように二人の心はすれ違い、常に緊張感が張りつめている。
その後ボートで湖に出た時、ふとした弾みで水に落ちたロジェにエレナは手を差し延べようとはせず、ロジェの姿は湖中に消えてしまった。
季節はめぐってふたたび春。
エレナの前にロジェそっくりの男、リシャール(ドロン・二役)が姿を現す。
エレナは、ロジェとは異なって活動的な彼に、磁力に吸い寄せられるように惹かれていった。
しかしリシャールは素知らぬ顔で彼女を突き放し、瞬く間にエレナの会社の実権を握ってゆく。

ジェーンへの手紙 letter to jane 1972

『万事快調』撮影中にゴダールとゴランを批判したジェーン・フォンダへの反論として提示された52分の映画エッセイである。

さらば、愛の言葉よ adieu au langage 2014

人妻と独身男が出会う。
ふたりは愛し合い、口論し、手を上げる。
一匹の犬が町と田舎を彷徨っている。季節はめぐり、男と女は再会。
犬は気付くとふたりのもとに落ち着く。
他者が個人の中にいて、個人が他者の中にいる。
そして登場人物は三人になる。
かつての夫が全てを台無しにし、映画の第二幕が始まる。

ゴダールの探偵 détective 1985

パリの一流ホテル、コンコルド・サン・ラザールの一室のベランダに取りつけられたビデオ・カメラが街の下の方を映し出す。
この一室に陣取ってある殺人事件を追っていたのはイジドール(ジャン・ピエール・レオー)という現職の刑事だ。
事件は、ちょうど二年前、このホテルで起こったのだが、当時その事件を担当していた探偵ウィリアム(ローラン・テルズィエフ)は、犯人をつきとめられず職を失ったが、今でも犯人追求の意欲は失っていない。
イジドールは彼の甥だった。彼らにはイジドールのいとこに当たるアリエル(オーレル・ドアザン)とアンヌ(アンヌ・ジゼル・グラス)の二人の若い女性の同居人がいる。
イジドールとアリエルは恋仲だ。
ホテルのロビーでは、エアバスのパイロットのエミール(クロード・ブラッスール)がいる。

ゴダールの決別 hélas pour moi 1993

ジャン・リュック・ゴダールがフランスの大スター、ジェラール・ドパルデューを初めて起用して、創造主(神)と肉体をモチーフに作り上げた作品。
監督のゴダールは80年代に入り、再び長編映画の世界に回帰し、近年も「ヌーヴェルヴァーグ」、「ゴダールの新ドイツ零年」などを発表している。
アブラハム・クリムト(ベルナール・ヴェルレー)が「ある出来事」の調査にレマン湖のほとりの町にやってくる。
彼はシモン・ドナデュー(ジェラール・ドパルデュー)とその妻ラシェル(ローランス・マスリア)の居所を探し、人々に物語を買いに来たと述べる。
その頃、ラシェルはモノ牧師(フランソワ・ジェルモン)に5日前、肉体のもろさを知ったと言い、寝た相手が夫か神か分からなかったと訴える。
駅ではマックスが神を迎えに来ていた。
神はラシェルを探すように命じる。
クリムトはビデオ店で「1986年7月23日の午後に起きたこと」を尋ねる。