1972年 an・an ELLE JAPON

1972年 an・an ELLE JAPON

*初夏になったと思ったら、パリジエンヌの頭はバカンスのことでいっぱい。
そこでエル撮影隊は一足さきにメキシコへ。
スペインとメキシコってなんとなく似た感じ。
スペインが舞台の映画がメキシコで撮影されたり、その反対も。
16世紀にメキシコはスペインに征服されたからなんだろうけど、パリジェンヌにとっては、メキシコのほうがやっぱり魅力的。
*まだ時おりはだ寒いパリを遠く)離れ
ここメキシコはまさに太陽がいつばい。
まぶしいばかりに輝く太陽のもとではなんといっても木綿がいちばん。
ベルトをはめこんだ長いペイザンヌふうのブラウスとパンタロンは、もち
ろん両方とも木綿。
サンダルも徹底して赤白。
チューリップ袖にオフィサーカラーのブラウスも木綿だからこそ。

*右上のヨットが見える景色、どっかで見たことあるんじゃない?
そう、アカプルコなの。
サントロベがフランス人のリゾート地なら、アカプルコは今や世
界中の人の保養地ってとこ。
右は、メキシコシティー近くの修道院の庭の泉に置かれた錫でで
きた鳥。
ひとつが240Fだから、15000円をちょっと欠けるくらい。
こんなものの色、それに修道院の泉のタイル模様なんかが、メキ
シコのぬけるように青い空や海といっしょに、心に残リます。
*メキシコの子供たちに囲まれてごきげんの写真は、ウェスタン調のししゅう入リシャツ。
2はごくさりげないサハリスーツ。
3では、折リ返しのついたショーツのカムバックに注目して!
そして2も3も、はいているのはサンローランリブゴーシュ製のあみあげ靴。
*水筒から一息に飲む水の、なんというおいしさ!
砂色のブルゾンとパンタロンのアンサンブル。
1はサンローランリブゴーシュ製。
ゴムでしぼった極端に短いブルゾンが新鮮。
マドロスチェックのシャツに、昔ふうのショーツの組み合わせの2はいかにも野性的。
小麦色の膚と大胆で、ちょっぴり下品なムードでかっこよく。
健康美も忘れずネ。
サンダルはサンローランリブゴーシュ製。
*砂漠のようになにもない高地では、馬にのった人を型どった色あざやかな人形(65 Fから113 F)が妙に風景にとけこみ、魚のような怪物ふうの置き物( 80 F)も、なるほどと思わせる。
そして人間も、ギラギラ照りつける太陽の下で馬に乗る時は、マカロニウエスタンではないけれど、少しどぎつくきめてみたい。
都会生活の気取りはいっさいすてた粗野な魅力がものをいう。
*右は、メキシコの”ベニス”として名高いソチミルコ。
ソチミルコとは花の園”という意味でもわかるように、ここは花や野菜の
産地しかし楽しみは、マリンバの音楽にのりながら、花や旗で飾られたポ
トでする水郷めぐり。
花を描いたかごや陶器(16Fから64F),a5たリししゅうした敷き物(400
Fくらい)なども売られている。
*旅なれた旅行者なら誰でも持っていくのが、1のようなサハリふう上着。
ウエストをゴムでしぼったところが新しく、なんにでも組み合わせのきく
便利な服。
2と3は、いかにも木綿らしいパリッとした膚ざわりと、太陽をはねかえす純白が魅力。
ランニングふうTシャツ、ごついサングラス、おっきなショルダー、そん
なものにいくらでもこれるからいい。
*メキシコというと思い出す曲。
『ラクカラチャ』
「大砂塵の女』という映画もあったし。
あれはたしか、メキシコ革命の時に実在した勇敢な女兵士の名。
でもそれとは別に、うす暗い路地のはずれの、ゴミゴミしたバーの片隅
なぜそこにいるのか、不思議なくらい美しい、でもいかにもそこにふさわしく、みだらでかわいい女。
もちろん情熱的な瞳をした。
女のことも思い出す。
*いつも夜の生活、たまには思い切り、太陽を浴びてみたい。
そんな1は、サンローランリフ·コーンュのコットンクレーブのワンピース。
アンダルシアの踊り子ふう。
パフスリーブとすそのフリルがかわいい。
サンダルはシャルル·ジュールダン。
2と3は、少しでも多く日にあたれるようにした、ちっちゃなブラウス。
4は徹底的に黒で統一して、少しのぞく白い胸もとを強調したよそおい。

BIBA ビバ
ケンジントン·ハイストリートを歩いている人の流れが吸い込まれて行くところがビバ。
とにかく、黒に金色でBIBAという文字が目だっビニール袋が、この通りにはんらんしているのです。
ビバ調をつくり出したサイモン夫人(ビバ社長の奥サマだそうです)の才能
はオドロキです。
入口をはいって、すぐ右側が化粧品売り場。
いつも人だかりで、買うのもひと苦労。
外国人の中年男性が、クニの娘からみやげに頼まれた紫や茶色の口紅を、20本も買いこんだりしているのです、1階にはニットのコーナーやアクセサリー、かつら、ハンドバッグなんかのコーナーがあります。地下におりると正面にTシャツの売り場。
あとは上の写真にあるようなビバ調の服が、フロアいっぱいに並んでいます。
2階には男ものやくつ売り場があります。

スターリング·クーパー
ウィグモア通りにはスターリングクーパーが2軒あります。
ひとつはオーナーのロニー·スターリングさん(若くて無口で、とても
魅力的な男性です)のいる、オフイス兼アトリエ。
各国のバイヤーや服飾関係のジャーナリストがつぎつぎに訪れます。
もう1軒はショップ。
1階がアクセサリーや男ものの服。
巨大なドラゴンの大きくあけたロをくぐると階段で、ブル-グレーのじゅうたんを敷きつめた地下の女性服売り場に下りるわけ。
ロックが流れ、壁いっぱいの歌麿ふうの「美人入浴図」や広重調の「富岳図」が目にはいります。
でも漢字らしき字がメチャクチヤだから、描いたのは日本人でないことは確か。
ふしぎな東洋調のなかで美人の店員が似合ってます。

カウントダウン
キングス·ロードはロンドンだけじゃなく、いまや世界のおしゃれの大中心地、ファッション·ロードなのです。
ロンドンに行ったらキングス·ロードを見ないで帰ってはいけません。
この通りのブチックの何軒かは、かならずあなたをエキサイトさせるはずです。
あんまりブチックが多すぎて、どの店を紹介したらよいのか迷うのですが、今回はロンドンのスタイリストに人気のあるカウント・ダウンを選びました。
場所は通りのまんなか、チェルシー・アンチックマーケットのすぐそばです。
この店はマリオン·フォールさんとサリー·タフィンさんという2人のデザイナーの作る服が人気のもとなのです。
それに、小柄でチャーミングな女店員がとても親しみやすいのです。
地下には高田賢三さんのニットも売っていました。

チェ·ゲバラ
チェ·ゲバラなんて革命家の名前をつけた店ですが、服はそんなに”革命的”なものばかりじゃなくて、だれでも着られるようなかわいらしい服がいっぱいなのです。
アンソニー·プライスさんとい若いデザイナーの感覚の勝利です。
地下鉄ハイストリート·ケンジントン駅をおりて、右にしばらく歩
いて行くと見つかります。
お店の間口はそう広くないのですが、奧行は深いのです。
ここにもかわいらしい女の子の売り子さん(たとえば上の写真のスー·モスさんのような)がいます。
どの店にも、その店の服を着るといちばん似合いそうな女の子がいるのには感心します。
モデルを兼ねているみたい。
さいごになりましたが、洋服の値段をポンドで示したので換算率を。
1ポンドは米ドルで約2.66ドル。
日本円で約820円です。

GINZAコアという名前は、もうご存じでしょう。
銀座のメインストリートに、3条のシースルーのエレベーターが上下する、おしゃれな城です。
このGINZAコアが、4月22日から5月末まで、『ワールド·ファッション·トリップ』というキャンペーンを展開します。
オートクチュール時代が終わりを告げたいま、新しい銀座のマス·ファッションを作ろうと、有名ブチックが集まるファッション·デパートが、気を揃えてこういうキャンペーンを展開すること自体画期的なできごとです。
だれにも着れる楽しいファッションをごらんください。
デザイン担当は、美島康男さんです。