男の変身史 「メロン」中西俊夫

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自分のイメージをまるで変えてしまうなんて。
と心配していては、いつまでも自分らしさに届かない。
楽しみながら変身するのって意外に男の子が得意みたい。
そこで、あるミュージシャンの見事な変身ぶり、見せます!

中西さんが、ファッションを意識するようになったのは高校生の頃。そのきっかけとなったのは、その頃、大人気なんてもんじゃなかったグラムロックのスーパースター、マーク・ボランを知ったこと。
「T・レックスの影響をモロに受けて、ロンドンの「ワンダーワークショップ」や「グラニー」の服が、とにかく欲しくてしようがなかった。日本じゃ手に入らない、でも欲しいっていうんで、ロンドンに行く親戚のオジサンに無理やり頼んでオミヤゲに買ってきてもらったりした」
そんなグラムロック熱も高校を卒業し、制服を脱いで、一日中好きな服を着られるようになるとサーッと消えてしまう。
「高校を卒業し、セツ・モードセミナーに通い始めると、とにかく世界が広がって、いろんなおしゃれな人に出会うワケ。
なかで、パリから帰ってきたばかりのデザイナーと知り合って、「ニュース・ペーパー」なんて作ったり、デザイン画を描いたりしてた。
そこの、イメージモデルもやってたから、普段着ているものは、そこのものばかり。
なんていうのか、パリっぽいカジュアルで、ブルゾンに少し変わったパンツを合わせたり、ジェームス・ディーン風のアノラックにリーバイスのホワイトジーンズとか、ラコステのポロシャツなんていうのも、あの頃はよく着ていたかな」
ラコステ+ジーンズ=中西俊夫、という意外性あふれる組み合わせ、やはり長続きはしなかったようす。

ビビアン・ウエストウッド
彼女のデザインを見たくて、ロンドンへ飛んでしまった。

メロンの前身ともいえるプラスチックスを結成し、そのステージ衣装のデザイナーともなった中西さん、シャツにインクを飛ばしてアクションペインティングを先取りしていたものの、ある日友人から1着のスーツを見せられて、1大決心をする。
「それが[Sex]の服だったわけで、ボタンがゴムだったり、手足がつながってるデザインだったり、とにかくショッキングだった。これは逆立ちしてもかなわない、ロンドンへ行って自分の目でよく見たい、と気が付いたらロンドンにいたってくらい夢中になった」
それが7年前のこと。左の写真のスーツが、ロンドンに付いた日に買ったもので、なんと10万円近くしたという。
これが、デザイナーのビビアン・ウエストウッドとの出会いで、彼女が[Sex][セディショナリズム][ワールズエンド]とブランドを変えても、中西さんは彼女のデザインの大ファン。
「7年前にビビアンの服を着ていたのは本当に少なくて、帰りにパリに行ったら、5分おきに、どこで買ったの?って聞かれたくらいだった。「Y’S」や「ギャルソン」と違うアウトローのイメージが新鮮だったよね」

「Y’S」や古着に浮気しても結局は「ワールズエンド」に逆戻りしてしまう。

80年の海賊ルックで「ワールズエンド」は一躍有名になった。「みんなは一緒にしているけど、「ワールドエンド」の海賊ルックには、ニューロマンティクスとは一線をへだてたパワーがあった。手足を結び付けるようなデザインでも、イメージは逆でとっても自由なんだよね」
という中西さんも、そのパワーの強さ、プライドの高さに着疲れした時期もあるらしく、プラスチックスのツアーでアメリカにいた半年は古着、デットストックばかりだったという。
「82年のワールズエンドのテーマになったのがホーボーでこれをみて、また魅力を再発見したみたい。イメージがイギリスから世界に広がっていて、ペルーの民族調の帽子なんか大好きだった。楽しい服になったんだよね」と、ファッションは再び「ワールズエンド」一色へ逆戻り。「今年は冬物もやっぱりこれしかないと思ったんだけど、最近なぜかゴルチエの服が気になるんだよね」と予言めいた一言、来年はまたドキッとする変身に期待できそう。