おれたちにあすはない Bonnie and Clyde



おれたちにあすはない Bonnie and Clyde おれたちにあすはない Bonnie and Clyde おれたちにあすはない Bonnie and Clyde

ボニーとクライド。
1930年代に実在したテキサス生まれの強盗カップル。
彼らをモチーフにした映画「俺たちに明日はない」は1967年公開された。
当時としては衝撃的で新しすぎる表現に、大手配給会社のワーナーブラザーズはB級映画の一つとして、いくぶん控えめに封切する。
するとたちまち若者たちの心をつかんで、保守的な評論家たちの筆を鈍らせた。
その後をご存知の通り。
アメリカン・ニューシネマの先駆となり、ヒロインのフェイ・ダナウェイは新たなスターとなり、世界中のスカートのレングスを膝の上から下に伸ばした。
そしてベレー帽!
中性のヨーロッパには既に流通していたとされる、クラシックで実用的な帽子だ。
その使い勝手の良さに、画家から軍人までが着用。
そのちょうど間にいるような、ヒップな強盗がかぶるのももっともな話かもしれないし、事実、映画の題材となったボニー・パーカーその人も、ベレー帽をはすにかぶって記念写真に納まっている。
しかし、この歴史的な作品でハリウッドのコスチュームデザイナーとしてのキャリアを踏み出した、後のオスカーノミネートの常連、セオドア・ヴァン・ランクルの名誉のためにも断言したい。
それは決して単なる再現ではなかった。
衣装に使うボタン一つを探すために、山と積まれた箱をあさるような才人の情熱が、ただの模倣で済ませるわけがない。
彼女は数千とも言われるベレー帽を取り寄せて、最適な二つ、ブラックとベージュを選び抜いた。
数十でもなく、数百でもなく、数千。
フェイ・ダナウェイは後にこういった。
「彼女はラブリーでマットなの」
愛らしくて狂気的なコスチュームデザイナーが、実際にどんなメーカーのものを選択したのかは、残念ながら知ることは難しい。
しかし、大切なことはきっとこういうことだ。
模倣をするな。
熱意をもって選べ。
なんだ、それはベレー帽だけの話じゃないじゃないか。